内容証明郵便とは
内容証明郵便とは
普通の手紙との違い
相手に自分の気持ちや考えを伝えたい時には、会って話をします。相手が近くにいない時には、電話で話したり、手紙を出したりします。
ところで、喋ったことは消えてしまいます。手紙は、相手に渡ってしまうと、手もとに何も残りません。電話の場合でも、後になって、何をいつ話したのか、はっきりさせたいと思っても、何の証拠もありません。
話す時、録音しておいたらどうか。録音すれば、何を話したのかは再現できますが、いつ話したかは、はっきりしません。
手紙ならコピーしておけば、文面はちゃんと残ります。しかしその手紙が間違いなく配達されたかどうかは、わかりません。
では、後になって、何をいつ相手に伝えたか、なんてことをはっきりさせる必要があるのでしょうか。実はあるのです。
クルーリングオフでの活用例
例えば、街で英会話の教材のセールスマンに声をかけられ、喫茶店で30万円もする英会話の教材一式を2年間の分割払いで購入する契約書にサインをしてしまった。
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しかし、翌日、自分には、こんな高額な教材は不要と思い、その契約を取り消すことにした。
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そのセールスマンから八日間以内でしたらキャンセルすることができるとの説明があったし、契約書にも、クーリング・オフ条項として、契約した日から八日間は契約を解除することができると書いてあります。そこで、販売会社あてに、契約を解除しますと手紙を書き、ポストへ投函。
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しかし、数日後、英会話の教材一式が届き、さらに一か月ほどして、その月分の支払いの請求書が送られてきた。
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早速、販売会社に連絡すると、契約を取り消した手紙は届いていないといい、商品を送ってあるのだから、契約どおり毎月払ってほしいとのこと。
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販売会社に契約した翌日、契約取消しの手紙を出したと何度も説明しましたが、会社は、そんな手紙は受け取っていないと主張。
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結局、教材を購入する羽目に・・・。
この場合、普通の手紙ではなく、内容証明郵便にすればよかったのです。
内容証明郵便は、いつ、だれにを証明してくれる
内容証明郵便は、郵便局で下記の事を証明してくれるもの。
どんな内容の手紙を
いつ相手に出したかということを
内容証明郵便は、同じ文面のものを三通作って郵便局に差し出します。すると郵便局では、一つを相手方つまり郵便の受取人に送り、一通を郵便局に保存し、一通を差出人に返してくれます。ですから、どういう内容の手紙をいつ出したかということを、簡単に証明できます。大切な手紙や、後日のためにその手紙を出したことの証拠を残しておかなければならない場合には、内容証明郵便がよいのです。
内容証明郵便の本来の効果は、どんな内容の手紙を、いつ出したのかを証明できるということ、それだけです。
内容証明郵便の心理的効果
内容証明郵便で出したからといって、お金の請求に強制力が生まれるわけでもありません。内容証明郵便が来たからといって、返事を出す義務が生じるわけでもありません。
しかし、内容証明郵便を初めて受け取った人はドキリとします。
内容証明郵便をもらってからというもの不眠症になったとか、食事がのどを通らなくなったという話をよく聞きます。
それだけ内容証明郵便が相手に与えるショックは大きいのです。
大変な心理的圧迫です。
例:お金を回収したい場合
例えば、貸金や売掛金等のお金を回収したい場合には、すぐには裁判を起こさず、まず内容証明郵便で請求します。内容証明郵便を出すと、そのうちの何割かは必ず反応があり、一括で支払ってくれたり、分割で支払ってくれたりします。
すぐに裁判を起こすより早く解決し、ずっと効率がよいのです。
これは内証証明郵便の持つ魔力、心理的圧迫によるものです。
内容証明郵便の心理的効果が生まれる理由
内容証明郵便は、普通の手紙とは異なる格式ばった用紙と形式で書かれているため、今までの請求とは違うんだぞという印象を与えます。
書留郵便で配達され、いかにも重要な文書のように感じさせます。
文書の末尾に、郵便局長が内容証明郵便として差し出されたことを証明するという記載とハンが押してあり、もらった方は緊張感を覚えます。
わざわざ内容証明郵便というやっかいな方法をとったのだから、次には何か法的な手続きでやってくるな、という不気味な予感を抱かせます。しかも、どんな手段をとってくるのかわからないし、裁判を起こされたらやっかいだと、困惑してきます。
以上のような作用があいまって、内容証明郵便には相手方を心理的に動揺させ、威圧する効果が生じます。
内容証郵便を出す本当の理由
内容証明郵便を出したところ、あれほど逃げまわっていた相手があっさり支払ってきた、あるいはこちらの言い分を認めてきたというケースはよくあります。
これはまさに内容証明郵便の心理的効果です。
世上、内容証明郵便はよく利用されていますが、その大半は内証証明郵便の本来的効果を目的にしたものではなく、二次的な作用ともいえる心理的効果によって自分の要求を実現させるために利用しているのです。